超領域対談


「北大理学部の教員と各分野のスペシャリストがお互いをインタビュー」する企画、超領域対談。中野が数学科の田﨑先生と対談する機会をいただきました!雪の積もり始めた11月末に撮影してから半年近く,ようやく公開です。

生物とは元来複雑なものです。まったく同じゲノム情報をもつクローンでも,微細環境の違いや偶発生などの影響で,同じ刺激に対してもある程度の幅(ブレ)をもった挙動を示します。こういった個体差をどうあつかっていくか,特に我々のように多数の生物を共存させるシステムを扱う実験生物学者にとっては重要な問題です。

個体数を増やして平均化したり,あるいは統計学的な推論に基づいてブレを吸収していくというのが生物学において一般的にとられる手法ですが,なんかもうちょっと数学的に対処する方法はないのか,と昔から漠然と考えていました。

数学には「カオス」という考え方があるそうです。完全なランダムではなくある種の法則性が存在しているのだけど,測定精度やパラメータが多すぎることなどによって人間の目からは完全なランダムにしかみられない,というようなものを「カオス」と呼び,そういった一見ランダムに見えるシグナルから数学的に法則や本質を紐解くような学問がある,ということをなんとなく聞いていました。(注:数学ど素人の中野がうっすら見聞きした情報に基づく勝手なイメージなので全然違うことを言っているかもしれません。)

そんなことをずっと考えながら北大に赴任し,しかも理学部という部局に来ることができた,そんな状況だからこそできることってないだろうか,というなかで訪れた今回の対談の機会。

田﨑先生は「応用数学」という分野で,生物学的な現象を数学的に説明するような研究をされています。
https://www2.sci.hokudai.ac.jp/faculty/researcher/sohei-tasaki

最近は細菌がコロニーやバイオフィルムを作る際の挙動を数学的に説明するようなお仕事をされています。
Morphologies of Bacillus subtilis communities responding to environmental variation
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/dgd.12383

なんだかもう僕を待っていたかのようなこの機会,決まってから対談当日まで楽しみで楽しみでしょうがなく,また当日も大変楽しくたくさんお話しして,翌週には農学部の友人との飲み会にも誘って色々盛り上がり,もう本当に素晴らしい出会いでした。

あれからしばらく研究に時間をまったく割くことができず進捗がなかったのですが,最近学生さんもはいってきて少しずつ前に進み始めたし,動画が公開になった良いタイミングでもあるので,また改めて自分のデータを見つめ直しながら一緒に何ができるかディスカッションする機会をもちたいなぁーなどと勝手に思ったりしています。

いつの日かここで新しいニュースを届けられるように,まずは楽しく交流を深めていこうと思います!生物と数学の共創/協奏で作り出す新しい植物微生物相互作用の世界に興味ある皆さんは,ぜひ中野研への進学をご検討ください!数学科出身でも歓迎です。

そういうわけで,一番盛り上がったところは専門的すぎてカットされちゃってますが(笑),田﨑さんと2人で単純に楽しく2時間くらい喋り倒した一部を,お恥ずかしい限りですがご笑覧ください!