
これまた少し前の話になりますが,4月に神戸大の水谷先生と秋山先生が学生を連れて北大にいらっしゃいました。ASPIREで一緒に活動させていただいており,土壌と微生物と植物の関係性のなかで,二次代謝産物がどのように役割を果たしているのか,島﨑先生の最新の成果や手法なども共有しながら議論を重ねました。
ところで私が二次代謝の世界に飛び込んだのはER bodyがきっかけでした。小胞体の形態に関する研究(Nakano et al., 2009; Nakano et al., 2012)をしていた当時の私は,アブラナ科特異的な小胞体由来構造体であるER bodyにも興味を持っていました(Nakano and Yamada et al., 2014)。そこで当時MPIPZ(現Polish Academy of Science)でシニアポスドクであったPawel Bednarek,ER bodyの本家本丸である当時NIBBの山田健志さん(現Jagiellonian University)と共同で,ER bodyに集積する酵素PYK10の解析を行うことになりました。
紆余曲折あって,最終的にPYK10がglucosinolateの活性化を担うmyrosinaseであることを発見することができたのですが(Pawelと山田さんのお陰です),このプロジェクトを始めることにちょうどPYK10はScopolinを分解してScopoletinにする酵素であるという論文が出ていたところでした(Ahn et al., 2010)。それで散々scopolinについて勉強したりアッセイしたりして,まぁおそらくPYK10の生理的な天然基質はglucosinolateであろうというところに落ち着いたのですが(Nakano et al., 2017),巡り巡ってMPIPZでmicrobiotaの研究をしている中で同僚がscopolinを含むcoumarinの重要な役割を見出すなど(Harbort and Hashimoto et a.., 2020),私の研究者人生にはなんだかうっすらずっとscopolinやcoumarinが飛び交っています。そんな中で,scopolinを含むcoumarinの生合成に基幹的な役割を担う酵素F6’H1の同定(Kai et al., 2008)に大きく貢献された水谷さんとこうして一緒にお仕事をさせていただけるようになったというのは,なんだか色々な輪廻を感じてしまいます。
ASPIREについてまだお知らせで書いていませんでしたが,色々と楽しいことが今後予定されています。追々,皆さんにもちゃんとアナウンスしつつ,楽しく国際頭脳循環を進めていけたらと思っています。中野研を足場にASPIREで海外武者修行をしたいという方,ぜひお気軽にお声がけください。現在,北海道大学大学院生命科学院の夏期入試募集要項公開中です。出願は7/13-17です。お早めにまずはご相談ください!